張飛益徳は、三国志に登場する3つの国「魏呉蜀」のうち、蜀の武将です。
漫画版三国志では、劉備の義兄弟として関羽とともに登場し、劉備の旗揚げの頃からずっと劉備に付き従ってきた武将ですね。
漫画版三国志を読んだ方であれば、張飛といえば、勇猛な武将でありながらも無鉄砲で激情家といったイメージがありますよね。
物凄く強いんだけど、劉備の静止を振り切って大暴れしてしまい、その結果劉備にも迷惑をかけてしまう困った面がありながらも、劉備を慕って各地を転戦する張飛の姿に、劉備と同様に肩入れしてしまう読者も多いのではないでしょうか。
そんな張飛ですが、史実ではどんな人物だったのでしょうか?
漫画版ほどではないにしても無鉄砲な荒くれ者ではあった
史実をみてみると、張飛って、実は無鉄砲な行動で劉備に迷惑をかけたことは意外と少ないのです。
意外や意外、漫画版で張飛がしでかした不謹慎な行動って、史実では劉備自身の行動だったりもします。
例えば、漫画版三国志には、 劉備が安熹県の尉に任命されて働いていたころ、群の督郵が公務安熹県によってきた際、督郵の不遜な態度に怒った張飛が督郵を鞭打ってしまい、劉備が官を捨てて逃亡せざるをえなかったというエピソードがあります。
ところがこのエピソード、史実では劉備自身が行ったことなのです。
それどころか、史実では、劉備は督郵に面会を断られたというだけでその督郵を縛り上げて杖で200回叩いたと記述があるので、漫画版の張飛よりも史実の劉備の方がよっぽど激情家ですよね。
そうは言っても、張飛自身が荒くれ者であると言えるエピソードも史実には散見されます。
例えば、劉備が徐州に侵攻した袁術と戦っている際に下邳という拠点を任されておきながら、下邳の相である曹豹と対立して下邳を奪われるという失態を犯しています。
また、張飛は部下に非常に厳しく、刑罰を頻繁に行ったり、鞭打ちした者を近侍として強制的に仕えさせるなど、傍若無人な行動が目立ちました。
このように、漫画版ほどではないにしても、史実でも張飛は無鉄砲な荒くれ者であり、勇猛な武将でありながらもその性格が災いして身を滅ぼしたのです。
全ては劉備を想う純粋さゆえの行動
僕が思うに、張飛の行動は全て劉備を想う純粋さが起因しているのではないでしょうか?
この点においては、劉備の挙兵時から行動を共にしている関羽とも共通します。
張飛にとっては、劉備という存在が全てであり、劉備のことを悪く言うものがあれば制裁を加える、逆に劉備が認めた人物であれば心から敬愛する、そんな純粋さが良くも悪くも張飛の人間的魅力だと思います。
史実では、張飛は位の高い者にはへりくだり、位の低い者には不遜な態度をとったというような記述が多く見受けられます。
簡単に言うと、上司にはペコペコする一方で、部下には厳しく当たるということですから、現代では相当嫌われるタイプですよね。
だけど、張飛の場合は、 劉備のことを想う純粋さがこのような態度につながっているのだと思うのです。
張飛にとって位の高い者とは、劉備が認めた人物だからこそその位に就いているわけで、敬愛する劉備が認めた人だからこそ張飛も最大限の礼節を持って接しているのだと思います。
また、張飛にとって位の低い者は、劉備の理想を実現するためのコマに過ぎず、そのコマがどうなろうが劉備の理想が実現出来ればそれでいいと考えたのではないでしょうか。
こうやって考えると、一人の人を想う気持ちが強すぎるというのも考えものですね。
張飛は最終的に、恨みを買った部下に寝首をかかれてあっけない最後を迎えてしまいます。
よく恋は盲目なんていいますが、張飛を知ると、あまりに盲目になりすぎることで、自分の身を滅ぼしてしまうことがよくわかりますね。