徐庶は、魏の武将・政治家であり、劉備のもとから曹操のもとへと移った人物です。
漫画版三国志では、諸葛亮登場前における劉備軍の優秀な軍師として活躍し、曹操に母親を捉えられて致し方なく曹操の下へ移った悲運の士として描かれています。
軍師のいなかった劉備軍に突如現れて大きな成果を上げたり、曹操の下へ移る際に涙を流しながら劉備との別れを惜しんだりと、物語の中盤で劉備と密接な関係を築く人物なので、漫画の読者からすると非常に思い入れ深い人物なのではないでしょうか。
僕は漫画版三国志を読んでいた当時、劉備がなくなって諸葛亮が国政に軍略にフル稼働することで体調を崩すシーンを見て、「徐庶が劉備のもとに残ってくてくれれば、ここまで諸葛亮が出ずっぱりにならなくても良かっただろうになぁ」なんて思っていました。
それくらい徐庶は才能に溢れた人物であり、諸葛亮には及ばなくとも、魏軍とまともに渡り合える知略を有した数少ない武将だと思っていたんですね。
それでは、史実における徐庶を紐解いていきましょう。
劉備軍における徐庶の活躍は史実にない
漫画では劉備の軍師として大きな活躍をみせる徐庶ですが、史実では劉備軍における徐庶の活躍はまるで記載されていません。
徐庶が劉備に従軍していたことは事実のようですから、漫画において徐庶が献策した戦術ももしかしたら本当に徐庶が提案したものかもしれませんが、少なくとも史実として記載されていませんので、劉備軍における徐庶の活躍は謎ですね。
漫画と史実で共通するのは、徐庶が劉備に諸葛亮を推挙したいう点です。
これだけでも劉備軍にとっては大きな成果と言えそうですけどね。
その後、母を捉えられて曹操のもとに移るのは史実も一緒です。
史実では、劉備と徐庶との涙の別れは描かれていませんが。
曹操のもとに移ってからの徐庶の活躍は?
そんなこんなで、曹操のもとに移った徐庶ですが、曹魏でちゃっかり出世し、天寿を全うしたようです。
漫画版の徐庶は、劉備のことを想い続け、曹操に有利な献策は行わなかった男気あふれる人物として描かれていますが、史実では普通に曹魏で仕事をして出世していったわけです。
ちょっと悲しいですけど、事実はそんなものですよね。
ちなみに、徐庶は最終的に御史中丞という位に登ります。
この御史中丞は、そこそこ高い位ではあるのですが、この徐庶の位を聞いた諸葛亮が「魏はよほど人材が多いのであろうか。徐庶がそこまで取立てられていないとは」といったような発言をしています。
諸葛亮からすれば、徐庶は若い頃互いに志を語り合った仲間であり、その能力も認めていたため、そんな徐庶ですら御史中丞どまりということは、魏はどれほど人材が多いのだろうと落胆したわけですね。
つまり、史実には徐庶の能力を裏付けるような直接敵なエピソードが記載されていないものの、曹魏においてそれなりに出世し、諸葛亮にも認められているという点で、徐庶が優秀な人物であることは間違いありません。
活躍の場は1つではない
史実の徐庶を見ていると、活躍の場は決して1つに絞る必要はないんだろうなと考えさせられます。
徐庶にとっては、母親を人質にとられて仕方なく曹操のもとに移ったわけですが、それでも曹魏で天寿を全うできたわけですから、人生どうなるかわからないものです。
徐庶が劉備のもとに残っていたとしても、活躍の場があったかどうかなんて分からないわけですし、結果的には曹操のもとで働くことが出来て良かったとも考えられますよね。
現代でも、下手に「自分はここで一生働くんだ!」と意固地になっていると、不足の時代が生じたときに対処できなくなってしまいますよね。
それより、「働き方や働く場所なんて時と場合で変わるもの」というくらいの考えて、自分の役割を全うする方が賢い生き方かもしれません。