曹仁は、魏の武将であり、曹操の従弟にあたります。
曹仁は、旗揚げ初期から曹操に付き従った古参の武将であり、曹操軍の騎兵隊長として黎明期の曹操を大いに支えます。
漫画版三国志においても、曹仁は度々登場して劉備軍と対峙することになるので、読者の間でも印象に残っている武将なのではないでしょうか。
漫画の中では、曹仁が曹操の従弟であることには触れられていませんが、少なくとも同じ曹姓である以上、曹操と曹仁に何らかの血縁関係があったことは推測できるはずで、曹操軍において曹仁が曹操の外戚として力を持っていたことは何となくわかると思います。
それでは、史実における曹仁はどのような人物だったのでしょうか?
面白みがないくらい漫画どおりの勇将曹仁
曹仁については、史実を読んでもあまり面白みがないかもしれません。
というのも、漫画を読んだ時点で、曹操の外戚であることや位の高い武将であることは推測できますし、その推測に基づいて史実をみてみると、そのとおりの武将だからです。
曹仁は若い頃から武勇に優れ、曹操軍が袁術や陶謙らと戦っていた時代には、常に騎兵を率いて先鋒の役割を担い、別軍を率いて敵を大いに打ち破る戦果を挙げています。
つまり、曹仁は若い頃から兵を統率して任務を遂行することに長けており、ただ曹操の外戚だから出世したというわけではなく実力も伴った武将だったわけですね。
その後も一つ一つ挙げるときりがないほど武功を挙げ続け、最終的には大将軍・大司馬にまで至っています。
つまり曹仁は、魏の軍事の一切を取り仕切る立場にまで昇進しているため、曹操の従弟であることを差し引いても、かなり優秀な人物だったことは疑う余地もないでしょう。
なお、傅子の中では、曹仁の武勇は古の名将に匹敵し、張遼は曹仁の次に位置すると評されています。
傅子という書物は、二次創作的色合いが強く、その信憑性に疑問が残るのですが、それでも曹仁は武勇において張遼よりも格上と評されるくらい実力のある勇将だったのでしょう。
曹操の外戚の中でも特に成功をおさめた曹仁
曹操の外戚といえば、曹仁の他にも、曹洪、曹純、曹真、曹休、夏侯惇、夏侯淵など、たくさんの武将がいますが、その中でも曹仁は最も成功をおさめた武将といっても過言ではないでしょう。
曹仁は、曹操の従弟という立場に甘えることなく、法を厳格に遵守し信賞必罰を行ったとされており、他の武将たちのお手本にされたと言われています。
曹丕も弟の曹彰に対して、曹仁を見習って軍令を適用するように忠告しており、君主からみても曹仁は上に立つものの見本になる存在だったのでしょう。
現状に奢らず行動することが成功に繋がる
曹仁のように、現状がいかに有利な状況であっても、節度をわきまえて行動できる人は、現代社会においても成功できる人間だと思います。
魏王の従弟という最高の立場であり、その立場を利用すれば多少傲慢な生き方を選ぶことも可能だったのに、曹仁は節度をもって規律を遵守し、その結果周りからの尊敬を集めて軍の最高位にまで登ったのです。
そう考えると、現代において、例えば会社で有利な立場にあったとしても、それに奢らず粛々と仕事をこなすことで、周りからも信頼されて更なる昇進が望めるのではないかと思います。