曹操は、魏の実質的な建国者です。
正確には、曹操は漢の丞相であり、かつ魏王として君臨しましたが、皇帝にはなっていません。
曹操の死後、あとを継いだ曹丕が漢の皇帝から禅譲を受け、魏の皇帝の位についたのです。
曹操といえば、漫画版三国志において、長年にわたる劉備との因縁を描かれており、曹操=悪、劉備=正義といった構図がストーリーの中心になっています。
そんな悪者扱いされてしまいがちな曹操ですが、彼は多くの人に愛される魅力的な君主であり、その魅力を最大限活かして人材の活用に力を注いだ、現代のビジネスオーナー思考を持った人物なのです。
とにかく人材集めが大好きな曹操
世間では、「曹操は人材コレクター」なんてことをよく言われているようですが、まさにそのとおりですね。
曹操のもとには、キラ星のごとく優秀な人材が集っており、蜀や呉とは比較にならないほど有名で優秀な武将・軍師などが集っています。
これほどまでに曹操のもとに人が集まったのは、魏という国自体が強大であることもさることながら、曹操が人材集めに注力していたからと言えます。
史実においても、曹操は、身分や略歴問わず、優秀な人物を幅広く採用する傾向にあります。
また、曹操軍における主力である張遼、徐晃、張郃といった武将は皆、もとは敵軍に属していた者ばかりで、曹操は敵軍の降将であっても優秀な人物であれば手厚くもてなして取り立てています。
特に、曹操自身を窮地に陥れその子どもである曹昂や曹安民などを討ち取った張繍に対しても、過去の出来事を許し、幕下に加えています。
普通の人に出来ることではありませんよね。
結果的には、張繍を幕下に加えたことによって、張繍の部下であった賈クという人材も手に入れることができ、この賈クは魏において三公である太尉にまで上り詰めているため、張繍を許して仲間にしたことは長期的視点でみれば曹操にとって大きなプラスだったと思います。
このように、曹操は人材を積極的に採用することにより自身の軍を強化していき、最終的には三国のうち最も大きな国力を誇る魏の礎を築いたわけです。
現代のビジネスオーナー的思考をもった曹操
現代では、人材が如何に重要かという考えはもはや当たり前になっていますが、忠孝の考え方が絶対的な基準であった当時において、主君を裏切った武将や身分の低い者であっても優秀であれば積極的に採用するという考えは、かなり特殊だったのではないでしょうか。
現代のビジネスオーナーは、自分自身が働くのではなく、優秀な人材を集めて彼らに働かせることにより、組織を拡大していきます。
企業の社長は、自分自身が商品を作るのではなく、優秀な人材に商品を作らせてその人材を統括するわけです。
その方が圧倒的に組織の成長率が高く、収益を最大化できるからこそ、人材確保と人材育成に力を入れる企業が多いわけですね。
曹操という人物は、忠孝の考え方が絶対的基準だった当時において、現代のビジネスオーナーと同様の思考を持っていて、人材を活用して自身の領土を拡大していくという合理的な考えの持ち主だったわけです。
現代においても、起業家やフリーランスとして活動する人は、曹操という人物から学ぶべき点が多いにあるのではないでしょうか?